肝臓を守り、肝機能を高めるための栄養の摂り方

- ビタミン・ミネラルを含む食べ物を豊富にとる
- 肝臓病の人や、肝臓に障害のある人は、健康な人よりも多くビタミンを多くとる必要があります。肝臓には栄養素をビタミンに変えて貯蔵したり、新たにビタミンを合成する働きがあり、栄養素の代謝を行う際に多くのビタミンを必要とします。また、肝臓病になると、肝臓の働きが低下し、ビタミンが不足しがちになってしまいます。
ビタミンの中でも、ビタミンA、C、Eは[抗酸化ビタミン]と呼ばれ、肝臓の働きとして活性酸素の害から体を守る働きがあります。また、ビタミンB群が不足すると、肝臓機能が低下して代謝障害を起こし、だるさや食欲不振などの症状があらわれます。
肝機能の維持・向上のため、ビタミンは野菜を中心に多めにとりましょう。
また、ミネラルは人間にとって必要不可欠な栄養素ですが、肝臓にとっても欠かせない栄養素です。肝臓内のミネラルが糖質や脂質、たんぱく質などの代謝・解毒に関わっており、肝機能維持のためにはこれらの適切な補給が必要です。ミネラルは過剰摂取すると中毒症状が起りますので、サプリメントなどによらず、野菜・果物・穀物・ナッツ類などの自然食からとるようにしましょう。
※注意:慢性肝炎の場合、体内の鉄分と炎症の進行に関係があるとされ、レバーや赤身の肉、貝類などのとりすぎはよくないといわれます。肝臓病の種類によって食生活の方針が変わりますので、主治医の指導のもと食生活の計画を決めましょう。
- 良質なたんぱく質を必要量とる
- たんぱく質は血液や内臓、筋肉、骨や皮膚をつくる重要な栄養素です。体内に取り入れたたんぱく質は、胃腸でアミノ酸に分解され、肝臓で人間の体をつくるたんぱく質に組みかえられます。
また、たんぱく質は肝臓の働きに必要な2,000種類以上の酵素のもとになり、破壊された肝細胞を修復するもとともなります。たんぱく質が不足しつづけると肝臓の機能は低下しますので、良質なたんぱく質を常に補給し続ける必要があります。
たんぱく質は動物性・植物性の両方をバランスよくとることが大切です。
- 食物繊維を豊富にとる
- 食物繊維は、摂取エネルギーや脂質吸収を抑えるはたらきや、便秘の予防・解消の効果が知られています。この内、肝臓にとっても便秘予防がとても大切になります。
便が大腸に長くとどまると、腸内細菌によって、腐敗・発酵し、有毒なガスや有害物質が発生します。この一部が腸管から体内に取り込まれ、腹痛などの不快症状を招くことがあります。こうした体内の有害物質を解毒するのも肝臓の役割なので、肝臓の負担を減らすためにも、便秘を避けるということが大切になってきます。
快便の維持、便秘解消に役立つのが食物繊維です。やはり、野菜、穀物、海藻、キノコ類などからとるようにしましょう。
肝臓を守り、肝機能を高める食生活の方針

- 一つの食べ物や、一つの生活習慣にこだわらない
- 肝臓にとって必要不可欠な食べ物、働きを助ける食べ物は多数ありますが、効果が高いというだけでその食べ物一つを集中して摂ることはよくありません。むしろ、栄養バランスが崩れることにより、本来の機能を損ねることになりかねません。単品料理ではなく、主食、主菜、副菜の中にそれらの食材をまんべんなくちりばめ、バランスを取りながら肥満にならないように食べるというのが大切です。
しかし、各栄養素の種類も濃度も違う食材をバランス考えながら組み合わせて料理するのは大変です。手軽な考え方としては、「和食を中心とした定食で品数を多く。時にはお肉も。」です。1日30種類の食品摂取が推奨されていますが、できる限りこれに近づけるようにしましょう。また、食事だけではなく生活習慣も肝臓にとっては大切です。上の図のどれか1つにこだわるのではなく、全体的にバランスよく実践することが効果を十分に発揮させるコツです。